田辺あゆみ
若い頃のわたしは、15歳のときにパリで撮影の仕事を経験したことをきっかけに、その後は海外へ出る機会が増えていった。どんどんと気持ちも外に向かい、飛行機に飛び乗って他の国に行くことは、もはや新幹線に乗って地方に向かうよりも気軽なことになっていった。
そして16歳のときに、パリで何人ものタイ人たちと友だちになる機会があった。彼らはタイのとある事務所に所属する芸能人やミュージシャン、マネージャーたちの御一行らしく、社員旅行でパリに遊びに来ていた。タイはいいよ、タイに遊びにおいで!という彼らの誘いに本当に乗るという、今思うとなんとも無謀であやういことをやってのけるのだった。当時のわたしはタイが国だということすらわかっておらず、タイって台湾のことか?台湾にタイがあるのか?ってくらいのトホホな子であった。タイについてちょっと調べてみると、俄然興味が湧いてきた。東南アジアは未知の領域で、なんとも魅力的だ。気になるといてもたってもいられなくなる性格なので、すぐに動いてしまう。慣れないパリでの一人暮らしと仕事からの、束の間の逃避行を決行する。飛行機のチケットとパスポートを手に、シャルルドゴール空港から飛び立ち、ドンムアン空港に降りたったのだ。
タイに着くと、数人の友人らが空港で待っていてくれた。わたしの顔を見るなり、「本当に来たんだね。こんな誘いにのったら危ないよ!うちらでよかったけど。」と言われた。たしかに。当時は携帯もなければインターネットも普及しておらず、わたしは友人の一人に電話をかけて、自分が到着する日と便名を伝えただけだった。客観的に振り返ってみるとだいぶ無謀だし、彼らが空港にいてくれなかったら、わたしはいったいどうなっていたのだろう。でもまず、彼らがいないなんていう事態は脳裏に浮かびもしなかったし、これこそが若さの特権なんだと思う。勢いをそのまま行動に移せて、後先を考えてあれやこれやと心配したりなどしない。もちろん実際に危険な目に遭っている若者もたくさんいるし、このような行動は全くおすすめできないのだけど、わたしには動物的な勘というか、危険回避能力があるような気はしている。若いうちからいろんな国を一人で歩き回ったり、夜も一人で出歩いたりして、こわい目に遭いそうな場面には幾度となく遭遇してきた。が、その度にわたしの中の動物が早々に危険を察知して、うまくかわしてきたのだった。
はじめてのタイではとても不思議な経験をした。
とあるお寺に行ったときのこと。なんとも言えない懐かしさが込み上げてくると同時に、「ん?この角を曲がった先の景色を知ってる気がする...」と感じた。 そして角を曲がると、そこは実際に自分が思い描いていた景色と同じだったのだ。夢で見たのか、はたまた過去世の記憶なのか。当時はそんな概念もなかったし、実際のところは今もわからない。
それから幾度となくタイに通うことになるわたしに、数々の不思議体験が起こる。霊的なこともあるし、UFOを見たこともある。
まあとにかく、なんでか惹かれてしまう
体験が
盛りだくさんの
不思議な場所な
次回へ続く
