あゆみ: そもそも始まりは、お二人で藍染を始めようと思ったのか。お二人とも藍をやってたから知り合ったのか。どんな感じでに二人でやるようになったんですか?
紺屋 仁(美由紀)(以下、美由紀): えっと、全然、藍と関係なくて、友達同士から~、あのーー
紺屋 仁(仁)(以下、仁): 先に一緒に居て。
美由紀: 私の方が、染めに興味があって。生地とかもすごい好きで。染め屋さんに行った際に原料を一回見せてもらった時に、仁くんはそっちに興味がいって、原料の方がやってみたいっていうので、
仁: 修行に。
美由紀: そう。徳島が藍染の原料つくるのが一番盛んなので、「じゃぁ、徳島へどうぞ」って感じで、仁くんは1年間徳島に栽培から原料作りまでの修行に行って。
仁: で、三重に帰ってきて、やってます。
あゆみ: 修行はいつぐらいに行かれたんですか?
仁: 大体10年ぐらい前ですかね。30歳ぐらいの時。
あゆみ: それで帰ってきて、藍を育てることから初めてってことですか?
仁: そうです。
あゆみ: すごいです。
ーーーー 10年は長い時間ですけど、修行期間もですが、始めて10年というのは短い期間でもありますよね?
仁: そうですね。
ーーーー ですけど、もう技術を既にしっかり体得されていらっしゃるのはすごいことですね。
仁: いや、技術は本当にもう終わりがない世界で。
毎年、「すくも」づくりとか、栽培も全部違うやり方で、色々と試行錯誤しながら、より良いものを作ろうとしてます。 他の染め師さんにも届けたりしてるので、本当に職人としてはもうずっと終わりがないかなと思ってます。
あゆみ: (しばし沈黙の後、カクンとお辞儀)
美由紀: あ、はははははは!
あゆみ: 何も言えない。。。
美由紀: はははははは!
仁: 違う違う。他の職人さんと一緒で終わりがないというか。。。。
美由紀: 遅咲きやな。(笑顔)
仁: うん。
あゆみ:
拝みそう。(笑)
そうなんだ、、、凄いなぁ
美由紀: 土の感じも全然違うから、早く地元でやったほうが、地元の感じがわかるというのもあって。そういういうアドバイスを他の先輩にいただいたんです。 ずっと徳島で修行してもまた三重に帰ってくると土とか気候が全然変わるから。だから、ちょっとでもね、早めに帰ってきて、というのもありましたね。
あゆみ: 「すくも」を作っている場所は匂いすごいんですか。
美由紀: うん。すごいです。発酵の匂いっていうか。
あゆみ: いい匂いしそう。
美由紀: 不思議で、作っている期間の間にワインみたいな匂いがしたり、フルーティな甘い匂いがしたりとか、発酵の熟成度合いでいろんな匂いがしてきます。
仁: これも何か面白いな。
ーーーー (↑の)写真を見ると、神棚ではないですけど、お水と葉のついた枝などを置かれていますね。 それはすくもの発酵の過程で、神聖な気を入れるということですか?
仁: そうです。験担ぎみたいなこともあります。発酵ていうのは人間では理解し切れへん部分が多いもんで。
美由紀&仁:
神、神頼み。
神頼み。
もう最後、神頼みです。
あゆみ: 年に1トンの「すくも」を作るということでしたけど、 一気に作る訳ではないんですよね?
仁: 一気です。
美由紀: 一回では全部の量があの場所には入らないので、1ヶ月かけて徐々に足して行って、最終的に1トンです。
仁: 原料がこの寝床に入り切らへんのですね。乾燥の過程で嵩(かさ)が30分の1ぐらいになるもんで、徐々にこう足していくっていう流れです。
ーーーー 一気だとすごく緊張しますね。
仁: そうですね。もうむちゃくちゃ緊張します。
あゆみ: もう寝れないよ。 寝れないやつ。
ーーーー (小声)眠れないね。。
あゆみ: 現在、日本でも数件の方しか「すくも」を大量に作っているところがないってことですけど、ということはJAPANメイドの「すくも」で染められているものは、もうその数件の方の染料ということなんですか?
仁: そういうことです。
あゆみ: ってことですよね。
仁: 間違い無いです。
あゆみ: (司会に向かって)すごくない!?
ーーーー めちゃくちゃ貴重なものを使わせてもらえてるというか。何と言ったらいいんでしょう。。。。 尊敬できる職人さん達だから、何かこう話を聞くたびに、、、
あゆみ: こうなるよね。(カクンとお辞儀)
一同: (笑)
美由紀: 本当、ただ、なんか、ただやってるって感じです。
仁: そうです。ただやってるという。
美由紀: もう、ここで、藍のことをやってるって感じでしかないです。
仁: 生活ですね。
あゆみ: 日本で作られている「すくも」って、その需要と供給ってバランス的にはどんな感じなんですか。
仁: そうですね、需要と供給のバランスがすごく崩れてて。 需要がすごい高まってて、欲しい人の手に入らん状態が結構続いてます。
あゆみ: どんどん「貴重なもの」になりますね。
仁: そうですね、貴重なものにはなりますね。
ーーーー って、ってなるとですよ。ariとしては、その貴重な藍染のTシャツを預かって、人に渡すっていうのはなかなかのお務めですね。
美由紀: 大丈夫。ぜんぜん。そんな深く考えなくて。
仁: そんな深く。あはははははは。
あゆみ: (貴重なTシャツに)プリントしていいのかなぁ?
ーーーー 今回、シルクスクリーンプリントはあゆみさん自身でプリントすると聞いていますが、一般的な化学染料(インク)でやるんですよね?
美由紀: うんうんうん、全然いいと思いますね。 あのーー、今やっているのが藍染めで、ちょっと尊い的な感じの雰囲気がしてますけど、、、 蛍光カラーも大好きですし。
仁: そんなにこだわりははないです。
美由紀: 可愛いとか、何かを見て素敵だなとかね、そういうシンプルな、あっ!と純粋に見て「いいな」っていうのが一番かなって。それだけはいつも思ってます。
仁: 重くはない。(笑)
美由紀: そう重~い感じではないです。
あゆみ: 自然の染めのものとかってケミカルの色と合わないんですよ、だいたい。もう違いすぎてちぐはぐになっちゃうんだけど、美由紀さんのあの水色を見た時に、全然ケミカルとも合う色、って感じたんですよ。あんまり褒め言葉じゃないかもしれないんだけど。
美由紀&仁: 嬉しい、嬉しい。
あゆみ: 自分の中にある違和感というか、ナチュラルテイストに必ずある何かが。うまく言えないんだけど、何かがこもってて、それがケミカルとの壁を作るんですよ。ケミカルとは合わない。(笑)
仁: なるほど。
美由紀: そうそう。
あゆみ: でもそれがね、ないなぁってすごい思って、ariで作っているまっピンクなベロアの素材の服とかあるんですけど、そういう色とも合うみたいな。 (アトリエの洋服を引っ張り出して)例えばこれとこの水色も合う。
美由紀&仁: かわいい。
あゆみ: そういうのをあんまり今まで経験したことがなかった。
美由紀&仁: うんうんうんうん
あゆみ: でも、この藍染めだったらariとも合わせれるんです。
美由紀: 嬉しい!いつも私も、そういう感じな色を染めたいなって思ってます。言い方が難しいんですけど、「あぁ、藍染め」というような感じは自分の性格にも合ってないしなぁって思いながら、、、言葉にするとそういう感じなんですけど。 なので、そうやって言ってもらえるとすごい嬉しいです。